非定常濃度方程式

2020-11-19 オフ 投稿者: SHANY™
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内空間における汚染質の時系列変化を定量的に予測することは、室内空気環境を向上させるために非常に重要なことである。特に室内で発生する汚染質を除去するための換気量計算、室内空気を清掃する空気清掃機の効果検討、時々刻々変化する自然換気量の予測・評価に必要な技術であり、ここでは非定常濃度方程式の導出過程を簡単に説明する。


図1に単室における汚染質の体積バランスの概念図を示す。

図1. 汚染質の体積バランス


図1を一つの系として考え、室内の汚染質総量 CV [m3/m3]の変化量である d(CV )、又はVdC に影響する要素を分類化すると、① 流入空気による輸送(+C0Qdt )、② 流出空気による輸送(-CQdt )、③ 内部発生(+Mdt )に分けることができる。室内に入ったあるいは室内で発生した汚染質は瞬時に室内空気と完全混合するものと仮定(瞬時一様拡散)し、この体積バランスを整理すると、式[1]のような非定常濃度方程式が得られる。

VdC = -(CQ-C_{0}Q-M)dt \; \cdots \; [1]

式[1]は1階微分方程式であり、解くために変数分離を行うと下記の式[2]に整理できる。

\frac{dC}{C-C_{0}-M/Q} = -\frac{Q}{V}dt \; \cdots \; [2]

変数分離を行った式[2]を用い、時刻t = 0の時の室内濃度をCsと置いて、t = 0 ~ t で積分すると式[3]と式[4]に表すことができる。

\int_{C_{s}}^{C}\frac{dC}{C-C_{0}-M/Q} = -\int_{0}^{t}\frac{Q}{V}dt \; \cdots \; [3]
log_{e}\frac{C-C_{0}-M/Q}{C_{s}-C_{0}-M/Q} = -\frac{Q}{V}t \; \cdots \; [4]

以上の式から室内濃度C に関する非定常濃度方程式を求めると、下記の式[5]として整理できる。

C = C_{0}+(C_{s}-C_{0})e^{-\frac{Q}{V}t}+\frac{M}{Q}\cdot (1-e^{-\frac{Q}{V}t}) \; \cdots \; [5]


【応用例題】
幅5 m、奥行8 m、高さ2.5 mの室に10人が同時に入室し、4時間滞在後にそろって退室した。この時の室内CO2濃度の推移を求めよ。ただし、外気中CO2濃度および室内CO2初期濃度は400 ppm、人体からのCO2発生量は20 L/h・人であり、この室の換気量は200 m3/hとする。


【回答】
この問題は式[5]を用いて検討すれば良いのですが、実際の計算では、
N = Q / VΔC = CC0、 ΔCs = CsC0 とおいて下記の式[6]に変換し、Nt の変化によるΔC の変化を求め、C = C0 + ΔC から計算する。

\Delta C = \Delta C_{s}e^{-Nt}+\frac{M}{Q}\cdot (1-e^{-Nt}) \; \cdots \; [6]

例題の条件からそれぞれの値を検討すると、
・ΔCs = 400 – 400 = 0 [ppm](初期濃度差)

M / Q = (20 × 10-3 × 10) / 200 = 1000 [ppm](定常濃度差)
N = Q / V = 200 / (5 × 8 × 2.5) = 2.0 [回/h](換気回数)
になり、下記の非定常方程式(式[7])が成り立つ。

\Delta C = 1000\cdot (1-e^{-2t}) \; \cdots \; [7]

式[7]を用いてt = 0 ~ 4 [h]の区間におけるC 値を求めると、下記のように計算でき、室内CO2濃度の時系列変化が確認できる。

時間0.000.100.200.501.002.004.00
t0.000.100.200.501.002.004.00
Nt0.000.200.401.002.004.008.00
e-Nt1.000.820.670.370.140.020.00
1-e-Nt0.000.180.330.630.860.981.00
C4005807301030126013801400

続けて4時間後、室内汚染質M が0になると、
・ΔCs = 1400 – 400 = 1000 [ppm](初期濃度差)

M / Q = 0 / 200 = 0 [ppm](定常濃度差)
N = Q / V = 200 / (5 × 8 × 2.5) = 2.0 [回/h](換気回数)
になり、下記の非定常方程式(式[8])が成り立つ。

\Delta C = 1000\cdot e^{-2t} \; \cdots \; [8]

式[8]を用いてt = 4 ~ 8 [h]の区間におけるC 値を求めると、下記のように計算でき、室内CO2濃度の時系列変化が確認できる。

時間4.004.104.204.505.006.008.00
t0.000.100.200.501.002.004.00
Nt0.000.200.401.002.004.008.00
e-Nt1.000.820.670.370.140.020.00
1-e-Nt0.000.180.330.630.860.981.00
C140012201070770540420400

以上の結果を纏めてグラフ化すると、下記の図2のように示され、室内CO2濃度の時系列変化が確認できる。

 図2. 室内CO2濃度の時系列変化



Written by Sihwan Lee
[Assistant Professor, Shinshu University]

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