建築環境計画

2020-07-06 オフ 投稿者: SHANY™
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境にやさしく、優れた建築をつくるには断熱・気密・日射遮蔽・採光・自然換気などについて配慮することと共に、省エネ・防音・災害・安全などについても多角的に検討して計画することが必須の要件となる。ここでは環境にやさしい建築環境計画について、検討項目、効果、検討ツールなどについて簡単に纏めておく。



【1】眺望と日射を採り入れる計画


▌定義:景観を眺めるために展望を保護する「眺望環境計画」と太陽軌跡による日射を採り入れる「日照環境計画」
▌目的:隣接する建物による眺望権と日照権侵害有無の予測
▌効果:日照確保、室内温湿度の調節、緑被率向上
▌考慮事項
・日照検討による環境順応型配置計画
・隣接する建物との日照、緑被率検討
・シミュレーションを用いた定量的検討による住居環境の向上
・日照権侵害による加害住居棟の計画修正
▌検討ツール:AutoCAD、ArchiCAD、Radiance、Revitなど



【2】自然採光計画


▌定義:適正な開口部計画による自然光を室内に入れる「自然採光計画」
▌目的:均一な照度・輝度分布を目指し、適切な昼光率を確保
▌効果:視覚的・心理的快適感と安心感の確保、省エネ
▌考慮事項
・採光補正係数の算出
・建物形態、方位、日射遮蔽などによる開口部計画
・反射、透過率の検討による採光設計
・窓の特性を考慮した省エネ計画
▌検討ツール:Lightscape、LumenFX、DIALux、AGI32、Relux、Radianceなど



【3】室内換気計画


▌定義:快適な室内空気環境を維持するため、室内汚染質を迅速に排出する「室内換気計画」
▌目的:住居環境の改善、居住者の快適性確保
▌効果:快適な室内空気環境、通風と併用による省エネ
▌考慮事項
・換気性能を向上させるために建築計画
・新鮮外気の流入経路による換気効率評価
・換気シミュレーションによる自然換気・機械換気の効果
・室内汚染質除去効率、空気清浄効率などの評価
▌検討ツール:Contam、Trnflow、Ventsim、Fluent、Star-CCM+など



【4】風通し、風害対策計画


▌定義:敷地内に新鮮な気流が流れる「風通し計画」、風害を最小化とする「風害対策計画」
▌目的:風による建物内外における気流分布の予測
▌効果:通風による省エネ、風害対策による構造安定性
▌考慮事項
・滑らかな気流による断面計画の妥当性確認
・風通し向上による汚染質の迅速除去
・気流シミュレーションによる気流の移動経路、気流分布の確認
・風害対策による建物の構造的安定性
▌検討ツール:Fluent、Star-CCM+、SC/Tetra、FlowDesignerなど



【5】火災・安全計画


▌定義:火災時における煙遮断、避難経路確保に関する「火災・安全計画」
▌目的:火災時の影響を予測・分析して人命と財産の保護
▌効果:人命と財産被害の最小化 
▌考慮事項
・避難階段、2方向避難経路の確保
・排煙窓、廊下幅、階段幅、ドアなどの計画と排煙設備システムの検討
・煙シミュレーションによる避難許容時間の計算
・避難シミュレーションによる避難時間の予測
▌検討ツール:FDS、Simulex、CFAST、EXODUSなど



【6】騒音・振動低減計画


▌定義:音源から建物への防音・防振計画から騒音・振動を低減する「騒音・振動低減計画」
▌目的:吸音特性を考慮した内装仕上げによる良好な音環境の確保
▌効果:良好な音環境、安楽な住居環境の確保
▌考慮事項
・音源遮断による防音計画
・階間騒音及び振動を考慮した構造計画
・音響シミュレーションによる音源レベル検討
・周波数分析による振動レベル検討
▌検討ツール:Raynoise、Odeon、Ramsete、CATT Acousticsなど



【7】省エネ計画


▌定義:省エネ・創エネのよるZEB設計、自然エネルギー使用による「省エネ計画」
▌目的:建物エネルギー消費量の最小化
▌効果:省エネ、環境にやさしい計画
▌考慮事項
・気候特性を考慮した省エネ設計
・冷暖房負荷計算による建築設計
・用途、負荷特性による設備システムの算定
・エネルギーシミュレーション
▌検討ツール:TRNSYS、Energyplus、AE-Sim/Heat、eQUESTなど



【8】給排水設備システム


▌定義:配管末端部での適正給水圧を確保する「給排水設備システム計画」
▌目的:給排水設備の過多設計防止による動力エネルギー低減
▌効果:過多設計の防止、適正給水圧の確保
▌考慮事項
・配管内流速、摩擦損失などの検討による配管計画
・給水圧力バランス検討
・送水動力エネルギー検討
・水衝撃防止設計
▌検討ツール:Flowmaster、AFT Fathom、KYPipeなど



Written by Sihwan Lee
[Associate Professor, Nagoya University]

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