建築熱・空気環境 2【CT#01】
2025-11-12▶ 火気使用室の換気対策
1. 開放型型燃焼器具では燃焼に必要な空気を【 室内 】から取り、燃焼廃ガスを【 室内 】へ放出する。
※ 燃焼器具の種類と例を下表に示す。換気の少ない室内で開放型燃焼器具を継続使用すると、ガス中毒が起こる。
種類 給気 排気 例 開放型 室内 室内 ガスストーブ、石油ストーブ、ガスコンロ 半密閉型 室内 屋外 CF型(Conventional Flue)、FE型(Forced Exhaust)、煙突式の風呂 密閉型 屋外 屋外 BF型(Balanced Flue)、FF型(Forced Draught Balanced Flue)
2. 建築物環境衛生管理基準における一酸化炭素の許容濃度は【 6 】ppmである。
※ 建築物環境衛生管理基準については、以下のリンクを参照すること。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/
空気調和設備を設けている場合は、居室において、下表の基準におおむね適合するように、空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節して供給する必要があります。また、厚生労働大臣が定める「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従い、空気調和設備の維持管理に努めなくてはなりません。→ 令和3年12月24日の政令等の改正により、基準値の一部が改正されました。
事項 基準 ア. 浮遊粉じんの量 0.15 mg/m3以下 イ. 一酸化炭素の含有率 【令和4年3月31日まで】
100万分の10以下(= 10 ppm以下)
※ 特例として外気がすでに10 ppm以上ある場合には20 ppm以下
【令和4年4月1日以降】
100万分の6以下(= 6 ppm以下)
※ 特例に関する規定は廃止。ウ. 二酸化炭素の含有率 100万分の1,000以下(= 1,000 ppm以下) エ. 温度 【令和4年3月31日まで】
(1) 17°C以上28°C以下
(2) 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
【令和4年4月1日以降】
(1) 18°C以上28°C以下
※ (2)の規定について、変更はありません。オ. 相対湿度 40%以上70%以下 カ. 気流 0.5 m/s以下 キ. ホルムアルデヒドの量 0.1 mg/m3以下(= 0.08 ppm以下)
※ 一酸化炭素(CO)の濃度による人体影響は下表を参照すること。
濃度 [ppm] 影響 200 2 ~ 3時間内に前頭に軽度の頭痛 400 1 ~ 2時間で前頭痛、吐き気、2.5 ~ 3.5時間で後頭痛 800 45分で頭痛、めまい、吐き気、痙攣、2時間で失神 1,600 20分で頭痛、めまい、吐き気、2時間で致死 3,200 5 ~ 10分で頭痛、めまい、30分で致死 6,400 10 ~ 15分で致死 12,800 1 ~ 3分で致死
3. 空気中の酸素濃度が【 19 】%を下回ると不完全燃焼により燃焼器具からの一酸化炭素の発生量が急増する。
・室のO2濃度が19%を切ると、燃焼器具からのCO発生量は急増する。
・一方、人体の低酸素への影響は16%以下で顕在化する。
・酸欠には人体より燃焼器具の方が脆弱なので、ガス中毒が先行して発生する。
4. 気体燃料の理論廃ガス量を単位燃焼あたりで表すと、約【 0.93 】m3/kWhである。
※ 気体燃料では理論空気量と理論廃ガス量は概ね等しく、0.93 m3/kWhである。
都市ガス(13A) プロパン 灯油 発熱量 [MJ/m3] 46 102 43 比重(空気=1) 0.66 1.55 0.79 理論空気量 [m3/kWh] 0.86 0.83 0.91 理論廃ガス量 [m3/kWh] 0.93 0.93 12.1 [m3/kg] 理論水蒸気量 [m3/kWh] 0.17 0.14 0.13 理論CO2量 [m3/kWh] 0.09 0.11 0.13
5. 点吸い込み口からの気流速度は、吸い込みからの距離の【 2乗 】に【 反比例 】して減衰する。
※ 点吸い込み口からの気流速度は燃料では下図に示すように、吸い込みからの距離の2乗に反比例して減衰する。 (1) 点吸い込み口を囲む球面の表面積は下式で求められる。
(2) 点吸い込み口で吸い込まれる風量は下式で求められる。\def\arraystretch{1.0}\begin{array}{cc}\begin{aligned} A = 4 \pi X^{2} \; [\mathrm{m^{2}}] \end{aligned}\end{array}
(3) 以上のことより、点吸い込み口からの気流速度は下記のようになる。\def\arraystretch{1.0}\begin{array}{cc}\begin{aligned} Q = AV = 4 \pi X^{2} \cdot V \; [\mathrm{m^{3}/s}] \end{aligned}\end{array}
\def\arraystretch{1.0}\begin{array}{cc}\begin{aligned} V \propto \frac{1}{X^{2}} \end{aligned}\end{array}
6. 火気使用室にて換気設備の設置が免除されるのは、①「【 密閉型燃焼器具等 】のみを設けた室」、② 「100m²以下の住宅・住戸の調理室で、発熱量合計【 12 kW以下 】の開放型燃焼器具を設け、かつ調理室床面積の【 1/10以上(最低0.8m²) 】の有効な開口部があるもの」、③ 「調理室以外の室で、発熱量合計が【 6 kW以下 】の開放型燃焼器具を設け、かつ換気上有効な開口部があるもの」である。
7. 開放型燃焼器具の必要換気量は、建築基準法ではKQを燃焼廃ガス量として【 V = 40KQ 】と表される。
8. 半密閉型燃焼器具の必要換気量は、建築基準法ではKQを燃焼廃ガス量とし【 V = 2KQ 】と表される。
9. 排気フード II型の排気捕集率の想定値は【 50 % 】である。
10. 理論空気量が Ath [m3/h]となる燃焼器具を排気捕集率ηの排気フードで捕集した場合の必要換気量は【 42(1-η)Ath 】となる。例えば、排気捕集率が75%の排気フードの場合の必要換気量は【 10.5Ath ≈ 10KQ 】である。
Written by Sihwan Lee
[Associate Professor, Tokyo University of Science]

