建築熱・空気環境 1【CT#01】

2025-06-11 オフ 投稿者: SHANY™
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 ▶ 空気環境計画


1. 人間は1日の90%を室内で過ごすと言われており、物質摂取量中で空気の占める重量割合はおよそ【 85% 】と言われている。


2. 換気の目的は【 室内空気の浄化 】、【 熱の排除 】、【 湿度の制御  】、【 気流の付与 】、【 酸素の供給 】である。


3. 換気回数 Nは、換気量 Q [m3/h]、室容積 V [m3]として【 N = Q/V 】となる。単位は【 回/h 】である。


4. 空気の入れ換えを換気と通風で区別する場合、【 0.5~2.0 回/h 】程度の換気回数に相当する換気量は換気、10 回/h以上の換気量は通風とされる。


5. 通風の目的は、居住者の【 温熱快適性 】の改善である。


6. 建築基準法における換気対策は、【 在室者による空気汚染のための換気設備 】、【 火気使用室の換気設備 】、【 シックハウス対策の換気設備 】に区分される。


7. 先進国における住宅の必要換気量のコンセンサスは、換気回数で表すと【 0.5 回/h 】である。


8. 換気設計の手順は順に【 汚染室発生量の推定 】、【 必要換気量の算出 】、【 換気効率の考慮 】、【 換気方式の決定 】である。


9. 一般環境の許容濃度は労働環境の【 1/5 】程度に設定される場合が多い。


10. 住宅のエネルギー使用量中で冷房は【 3% 】程度を占める。

※ 現状では住宅における冷房エネルギー使用量が大きくないが、ヒートアイランドなどの影響により、今後の増加が懸念される。

11. 事務所における一次エネルギー消費量中で空調が占める割合は【 22.8% 】程度であり、搬送動力がその半分以上となる。


12. 自然換気は【 温度差換気 】と【 風力換気 】に大別される。

※ 換気は、室内外の空気を入れ替えることで、汚染物質の除去や空気質の維持を図る重要な設備設計要素である。換気方式はその駆動手段によって、大きく以下の2つ(【A】機械換気、【B】自然換気)に分類される。
【A】機械換気
ファンなどの機械装置を用いて空気を強制的に移動させる方式であり、さらに、給気・排気に用いる機械の有無によって以下の3つに分類される。
  • 第1種換気方式(Balanced Ventilation):給気・排気ともに機械
  • 第2種換気方式(Supply Ventilation):給気のみ機械
  • 第3種換気方式(Exhaust Ventilation):排気のみ機械
★【注意】「第1種~第3種換気方式」という分類・名称は、日本国内(韓国、中国、台湾など一部のアジア国)の建築・設備設計実務で広く使用されているが、日本独自の整理法である。海外、特に欧米では、英語での記述的・機能的表現が主流であり、第1~、第2~といった番号を用いた分類は存在しない。学術論文や国際会議などで発信する際には英語圏で通用する表現に置き換えることに注意してください。
(1)第1種換気方式(Balanced Ventilation)
第1種換気方式は、給気・排気ともに機械で行う方式である。室内は、正圧にすることも、負圧にすることも可能であり、給排気のバランス制御に優れた方式である。また、外気の温湿度条件に応じた熱交換換気装置との組み合わせも可能であり、換気負荷の削減に寄与できる。給排気量のエアバランスや気流速度のシビアなコントロールを求める高気密住宅、屋内駐車場、劇場、映画館、地下室、実験室などに用いられる。
図1. 第1種換気方式(給気側:機械、排気側:機械)
(2)第2種換気方式(Supply Ventilation)
第2種換気方式は、給気を機械で行い、排気を自然換気とする方式である。室内を正圧に保つことができ、室外からの汚染物質(粉じん、花粉、黄砂、汚染空気など)の侵入を防ぐ効果がある。外部からの粉じんの侵入を嫌うクリーンルーム、燃焼空気を確実に必要とするボイラー室などに用いられる。
図2. 第2種換気方式(給気側:機械、排気側:自然)
(3)第3種換気方式(Exhaust Ventilation)
第3種換気方式は、給気は自然換気(隙間、自然給気口など)とし、排気を機械で行う方式である。室内が室外より負圧になることで、室内で発生する汚染空気の外部漏出を抑制する目的として採用される。水蒸気や熱気が発生する厨房、臭気が発生するトイレなどに用いられる。
図3. 第3種換気方式(給気側:自然、排気側:機械)
【B】自然換気
自然換気は、機械を使用せず、風力や温度差(浮力)といった自然の駆動力を利用して換気を行う方式である。これを「第4種換気方式」と称する場合もあるが、一般には駆動力の種類に応じて次のように細分される。
  • 風力換気(Wind-driven Ventilation)
  • 温度差換気(Stack Ventilation)
換気量が安定しにくいデメリットがあるが、高発熱の工場や倉庫など、自然換気でも十分な空気交換が期待できる空間に用いられる。
図4. 自然換気(給気側:自然、排気側:自然)

Written by Sihwan Lee
[Associate Professor, Tokyo University of Science]

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